2007年 12月 21日 ( 1 )

大地の子 その2

父と、一歳違いの父の兄は、第二次大戦で中国に出兵しました。
別々の部隊だったのですが、あの広い中国で一度だけ偶然に出会う事が出きたそうで、そのあと間もなく伯父は帰らぬ人になってしまいました。
父は自分の部隊がほぼ全滅したために別の部隊の所属になったのですが、ほかの部隊から来た人はよそ者扱いされて、戦闘のときは常に最前線にやられたそうです。
その後中国から転々とし、最後はフィリピンのミンダナオ島に転戦して、そこで終戦を迎えました。
島民に見つかれば日本兵は殺されてしまう危険性があるため、昼は密林の中に身を潜めて夜には畑の野菜を盗んだり、またヘビやネズミなどあらゆるものを捕まえて食べ、命をつないで生きながらえたそうです。
父の最後の部隊で生き残った人はたったの2名だけで、父は三等兵、もう一人のTさんは通訳だったそうです。
その生き残りの片割れTさんへは肉親以上の思いが父には有ったようなのですが、父の希望で戦後40年で初めて会うと勇んで東京に行った時に、相手には父ほどの思いは無かったようで、帰って来てからの父は、とても寂しそうでした。
また、毎年こちらからTさんに送っていたリンゴも、老人だけだからもう送ってくれるなと言われてしまい、これでTさんとの縁が切れてしまったと感じたようです。
その父が購読していた文芸春秋で私は「大地の子」を読んでかなりのカルチャーショックを受けたのですが、NHKでこれをドラマにして放映すると聞いたときには、そんなことは不可能だと思いました。
ですが、岡崎栄さんという名プロデューサーと、日中両国の優れた俳優さんによってほぼ原作に忠実に映像化されていたのには驚きました。
父に、「大地の子」を録画したから見る?と何回か聞いたのですが、一日中テレビをつけている父だったのに、「おれは本で読んだからいい」と、絶対に見ようとはしませんでした。
晩年は戦争の話はほとんどしなくなっていましたが、父は一生ずーっと戦争の記憶を引きずって生きてきたのだと思います。
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by esiko1837 | 2007-12-21 08:56